差し込み文書を使うと大量の宛名印刷ができる
Microsoft Word(以下、Wordという)は、はがきや封書に宛名印刷することもできます。このような場合には、差し込み文書という機能をつかって、大量なデータを一括して印刷します。
データの指定にはいろいろなデータソースを利用でき、excelをはじめoutlookの連絡先、csvテキストデータ、accessなどたくさんのデータソースを指定できます。
csvテキストデータは、カンマ区切りなどで1行を1件として簡単にテキストエディタで作れるので、もっとも可搬性の高い運用が可能でしょう。
ここでは、Word内でも新規に作成できるaccessのデータ形式であるmdbファイルをつかって以下に差し込み文書のやり方を説明します。
新規に住所データをつくる
住所データは、Wordの最上段にあるメニューから、“新しいリストの入力”とクリックしてください。
> から- 差し込む文書をクリック
- 宛先の選択にある▼をクリック
- 新しいリストの入力をクリック
ここで作ったデータは、以下のように「Microsoft Officeアドレス帳」(accessのmdbファイル)として保存されます。
既にあるリストの再利用
既にあるリストを再利用する場合は、新規につくった場合とおなじく
をクリックします。データを追加・編集する場合、
差し込みフィールドで自由にレイアウトを組む
これで先につくった住所データをつかってレイアウトを組む場合、そのままでは自由に配置をすることが出来ませんので、縦書きや横書きのテキストボックスに該当のフィールドを追加します。あとはマウスでこのテキストボックスごと好きな場所に移動したり文字の大きさを変えることができます。
住所データの各項目を引用するには、以下のように
ボタンを使用します。以下は先につくった住所データで、長形3号の封書に宛名印刷したサンプルです。
なお、サンプル図中にある郵便番号についてはサイズなどの特殊な設定を必要としますので、あらためて後述します。
用紙サイズを設定
はがきを使って年賀状や暑中見舞いの宛名印刷をする場合は、はがき宛名面印刷ウィザードをつかって数ステップの質問に答えていくだけで、簡単に宛名面を作っていくことができます。同様に封筒用のウィザードもありますが、これは欧米用途ならば使うことができますが、いまいち日本には向きません。この説明書では、長形3号や長形4号の封書用紙サイズを指定して宛名印刷することにしました。
長形3号 高さ235ミリ 幅120ミリ
長形4号 高さ205ミリ 幅90ミリ
用紙サイズを指定するには、用紙サイズの設定、文字数と行数、余白の設定の各設定を順番におこないます。この順番どおりにやらないと縦横の用紙が反転したり縦書きに設定がうまくいかない原因になりますので、下記のとおり上から順におこなってください。
用紙サイズ(長形3号)の設定
最上段のメニューより「長形3号封筒」を選びます(②の部分)。
、ページ設定横のボタンを押して以下の設定ダイアログを表示させます。そして、上部にある用紙タブをクリックしてください(①の部分)。画面がかわったら用紙サイズの下図にあるように、
文字数と行数の設定
文字数と行数の設定では、文字方向を縦書きにします。上記と同様に文字数と行数タブをクリックし、以下のように文字方向を縦書きにしましょう。
用紙タブ
次に用紙タブをクリックし、余白と印刷の向きを設定します。用紙の向きは縦に、余白は以下のように設定します。
設定する余白
- 上 12ミリ
- 下14.1ミリ
- 左8ミリ
- 右10ミリ
- とじしろ0ミリ
設定のポイント
設定には順番があります。「用紙」、「文字数と行数」、「余白」の順番で必ずおこなってください。
覚えておくと便利なフィールド設定
ここまでで長形3号用紙を設定し、新規に住所データを作って住所や会社名などの各差し込みフィールドを配置することができました。
ここで、ちょっと便利の使い方を紹介します。
住所を印刷する場合、地番などを漢数字にしたいなぁとか宛先の名前に様や御中を追加したいと思うことがあるはずです。これは「フィールドの編集」を使うと簡単に実現することができます。
地番を自動で漢数字に変換したい
変換したい住所のテキストボックス(文字部分)マウスて右クリックし表示されたコンテキストメニューからフィールドの編集を選択してください。
次に表示された設定ダイアログで、“数字を漢数字に変換する”にチェックをいれます。
宛名に「様」や「御中」を付加する
名前や会社名など文字数が決まっていません。レイアウト上固定で様や御中を配置しても可能ですが、これでは文字数によっては間延びしてかっこよくありません。こんな場合に便利なのが、「様」や「御中」を自動的に付加することです。
上記と同じくフィールド編集を開いてから、以下の図のとおり設定してください。
プレビューを使って結果の確認
さてここまででどのように印刷されるのか確認してみましょう。実際のデータを使って思ったとおりにレイアウトされているか、文字の大きさはどうか、はみ出して2行になったり途中で切れてしまうデータがないか等の確認をします。
この確認をするためには、
を使用します。結果のプレビューを利用するには以下の図のとおり。もし、他のデータに移動したりする場合は、?ボタンや?ボタンを使って移動します。
郵便番号枠を追加する
宛名印刷で簡単にできるようでできないのがこの郵便番号枠です。とにかく場所が決まっている上に封書によっては赤枠が既に印刷済みのこともあり、印刷時には無効にしなければなりません。これらを解決していきましょう。
赤枠の位置は、はがきや封書で違いますし、定型郵便と定形外でも異なります。以下は、これまで使用した長形3号をベースに合わせてあります。もしこれ以外は各自数字を微調整してください。
赤枠自体は、下記の外部図形をテキストボックス作成しここに読み込むようにします。
郵便番号フィールドは、通常の横のテキストボックスに配置しますが、文字をOCRBの22ポイントに設定してください。
隠し文字を設定する
先ほど言ったように図形は隠し文字を設定できませんが、テキストボックスなら可能です。以下の図のとおり、テキストボックスの選択 > ホームメニュー > フォント設定ボタン > フォントタブ > 隠し文字にチェックの順番でおこないます。
先ほど言ったように図形は隠し文字を設定できませんが、テキストボックスなら可能です。以下の図のとおり、
> > > > の順番でおこないます。- 設定するテキストボックスを選択
- ホームメニューの選択
- フォント設定ボタン
- フォントタブの選択
- 隠し文字にチェックを入れる
隠し文字以外の非表示にやり方
Wordの印刷時のみ非表示にやり方として上記の他、Wordで作成した描画オブジェクトを印刷するというオプションを外すことでも実現できます。これは
> > > Wordで作成した描画オブジェクトを印刷するのチェックをはずす。これは、本当に印刷時のみ非表示にするやり方ですが、これにはひとつ問題があります。これまで、差し込みフィールドはレイアウトするためにテキストボックス内に配置しましたが、テキストボックス自体もこの描画オブジェクトとなるので、使えないということです。
これを防ぐためには、Word2007頃にあったレイアウト枠を使うことです。最近のWordではこのレイアウト枠の代わりに上記に説明したように縦や横のテキストボックスを使っていますが、現在でもレイアウト枠自体の機能は残っています。
知らなかったと思いますが、これは、Wordオプションからリボンにコマンドボタンを独自に追加することで使えるようになります。ここでは詳細な使い方は省きます。
最後に
これで、長形3号の封書に宛名印刷するひととりの説明は終わりました。いろいろ試してみてもしもっと簡単にできるとかご意見ありましたら、コメントにておよせください。
以上